この男、偽装カレシにつき
「何で私ばっかり残されなきゃいけないのよ…」


うらめしそうにそう言うと、橘センパイは呆れた顔で私を見返してくる。
なんか嫌な予感がする。


「お前…、誰のせいで俺が風邪引いたと思ってんだ。
このまま何もせずに帰れると思うなよ」


やっぱり風邪引いたのは私のせいなのね。
そんでもって私をここに残して、しっかり仕返しするつもりだったのね。


一体何をされるの?
お願いだから、エッチ方面じゃありませんように!


でも風邪っぴきだからその心配はナイ?
いや、相手は歩くエクスタシー野郎だ。
風邪くらいで、そう簡単に…。


「お粥」


一人で悶々と妄想を繰り広げていた私に向かって、センパイはぽつりとつぶやいた。


へっ?お粥?


「30分以内に作れ」


橘センパイはそれだけ言い残して、自分の部屋と思われる扉の中に姿を消してしまった。
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