この男、偽装カレシにつき
「…出来たなら起こせよ」


「人にものを頼んでおいて、寝ないで下さいよ」


お粥をお椀についで渡すと、センパイに突き返された。


「熱い」


コイツ、偉そうにしてるけど猫舌?
全く世話の焼けるぼっちゃんだこと!
私がフーフー息を吹き掛けてあげると、センパイはようやくお粥を口にした。


やっと食べたか。
ちゃんと鰹節で出汁とったんだから、美味しいでしょ。
どーだ、美味しいと言え!


だけどセンパイは、不満げに私を見る。


「味がしない」


なぬっ?
まさかアンタ、風邪引いてて味覚ないんじゃないでしょうね。


くそぉっ!
こんなことなら味を整える必要なかったじゃん、って違うか。
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