この男、偽装カレシにつき
「…じゃ、お粥も作ったんで帰りますね」


なんだかんだ言って完食したセンパイの食器を片付けて、私はそそくさと立ち上がる。


これ以上何かやらされちゃ堪んないから、コイツが満腹で気が紛れてるうちに退散退散。


「ちょっと待て」


遅かった…。
ハイハイ、お次は何でしょ。
召し使い気分で振り返ると、センパイはとんでもないことを言い出した。


「まだ帰んな」


何その上から目線!
嫌です、と即答しようとしたとき、


「もう少しいろよ」


橘センパイが私の手を掴んだ。
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