この男、偽装カレシにつき
なんていい人!
全く、橘センパイにも、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだわ!


やっぱり私の、白馬に乗った王子様は大野センパイなんじゃないの?
あんな裸の王様に反応しちゃう私の胸って、イカレてんじゃないの?


あーっ、もう。
アイツも『ユキノ』も忘れて、パーッと飲み食いしてやる!


よし、景気づけにパフェでも頼んじゃお、とメニューを開いたと同時に、


「俺、そろそろ帰るわ」


財布から千円札を三枚出しながら龍センパイが立ち上がった。


龍センパイってば、太っ腹!
ゴチになります、なんて思いながらグラスの水を口に含んだとき。


「ああ、家でユキノが待ってるもんな」


ゲホゲホーッ!
大野センパイの言葉に、私は勢い良くむせてしまった。
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