この男、偽装カレシにつき
何?
幻聴?!
今、ユキノって言わなかった?
そんなに有りがちな名前だっけ?


「誰ですか、ユキノって。
龍センパイのカノジョ?」


純ちゃんが食いつく。
そうだよね。
ユキノって名前でさえなければ、私も同じ反応してるハズ。
謎だらけの龍センパイのカノジョなんて美味しすぎる話題、放っておかない。


だけど今の私は、その名前に動揺して何も言えない。


「タクミがメロメロになる唯一のオンナ。
写メあるよ、見る?」


「あ、見たい見たい」


大野センパイがケータイを取り出すと、純ちゃんがそれを横から覗き込んだ。
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