この男、偽装カレシにつき

「分かりやすい奴」


私の180度心変わりした顔を見て、橘センパイは吹き出す。


さっきから思ってたケド。
橘センパイって結構笑うんだ。


学校で見かけるときはいつも気怠げで。
すました顔しか見たことなかったから、かなり新鮮で…。
なんて、見惚れてる場合じゃなかった。


あんなアヤシイ噂のある橘センパイのこと。
知りもしない私の恋路に協力してくれるなんて、何か裏があるに違いない。


「でも。
何で協力してくれるんですか？」


私は恐る恐る聞いてみる。