この男、偽装カレシにつき
橘センパイはまだ『雪乃』が好き…。


そう考えれば、愛しそうに名前を呼んだのも、間違って私を優しく抱きしめたのも説明がついてしまう。


恋を教えてくれるどころか、すぐに失恋まで経験させてくれるなんて。
百戦錬磨の女タラシとは言え、恋愛初心者相手に大人げないんじゃない?


告白する気なんてさらさらなかったケド、もうちょっとくらい恋愛気分を満喫させてくれても良かったのに。


気分は真っ暗なのに、目の前にはプリンパフェ。
ウエハースにプリントされたニコちゃんマークが一段と憎らしい。


くそぉっ。
こんなことならミートドリアでも頼んで、嫌って程タバスコかけるんだった。
そしたら泣いても不自然じゃなかったのに。


そんな後悔をしつつ、私は甘ったるいプリンを飲み込んだ。
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