この男、偽装カレシにつき
視線を辿らなくても彼女たちがこの甘党ヤロウを見てるのだと分かる。


また外見に惑わされた犠牲者が増えてる!
中身はただのエロ男なのに(そんなヤツに惚れたのは誰だ)。


恋人同士に見られるのはちょっと、…いや、かなり嬉しいけど、センパイが騒がれるのはあんまり面白くない。
複雑な気持ち。


ジェラートに夢中なコイツの耳には入ってないんだろうけどね。
ちらっと目をやると、


「チョコ見せびらかしてんじゃねーよ。
一口よこせ」


センパイはそう言って顔を寄せ、私が持っていたチョコにかぶりついた。


一口デカッ!
じゃなくて、顔近っ!!


センパイが急にアップになって慌てる。


嫉妬するくらい整った顔なんかもう見慣れたはずなのに、思わずジェラートを落としてしまった私。


「わぁっ!」


しまった!
あんなに並んだのに一瞬でパァじゃん!
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