この男、偽装カレシにつき
「まぁ、何にせよ。
俊介が心配してたってことは、お前のこと少しは気にかけてんじゃねぇの?」


橘センパイが私の頭を軽く叩きながら言った。


ああ、コイツ。
私がまだ大野センパイのことが好きだって思ってるんだ。


それもそうか。
橘センパイのことで頭がいっぱいで、大野センパイが入る余地がないなんて、知るはずもないもんね。


そう思っててくれた方がこの先面倒くさくないから、否定しないでおこ。


「全部俺のおかげだよな」


「はいはい。
ありがとうございます」


「じゃあお前も俺の役に立てよな」


橘センパイは偉そうにそう言ったかと思うと。
ジェラートから顔を上げて、そのまま私に口づけた。
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