この男、偽装カレシにつき
「あれ、本当に恋人だったんだ…」


「あんなのが彼女なの!?」


オーイ!
みなさん、心の声が口から出ちゃってますよ!
しっかり聞こえてるんですケド!


どうせ十人並みの私は、容姿が整いまくった橘センパイと釣り合いませんよーだ。
ていうか、余計なお世話だっつーの!


「公衆の面前であんなことして…。
また敵が増えたらどうしてくれるんですか…」


センパイのカノジョの振りをするようになってからというもの、刺すような視線にいい加減嫌気がさしてる。
これ以上、人様から恨まれるのはごめんなんですけど。


「センパイのカノジョになる人って、命がいくらあっても足りなそうですよね」


だから今後もずっと作らない方がいいんじゃないの?
なんて、あわよくば自分に都合のいい方向に誘導してしまおうとしたとき。


センパイはジェラートを食べながらしれっと言った。


「お前がいれば、カノジョなんかいらねぇよ」
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