この男、偽装カレシにつき
やっぱり大野センパイってステキ。


落ち着いた焦げ茶色のサラサラヘアも、穴の開いてない耳たぶも。
そこらへんのチャラチャラした高校生と違って好印象だし。


優しげな目元も、柔和な物言いも。
何から何まで橘センパイとは大違い。
同じなのは身長くらいだわ。


やっぱり健全な男子高生たるものこうでなくっちゃあね。


一番遠い存在でもなんでも、このキラキラ輝いた笑顔を側で見れるならアリな気がしてきちゃった。


よし。
こうなったら、橘センパイのカノジョって立場を思う存分利用してやろうじゃないの。


「一緒にご飯って約束しましたよね?」


顔全面に(その程度は守りなさいよね)と書いて詰め寄ると。
橘センパイは深い溜め息をついた後、しぶしぶ私たちを連れて学食に向かったのだった。
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