この男、偽装カレシにつき
「あ、内側に何か彫ってある。
えーと、M to Y…?」


あれ。
何か変じゃない?


「ああ。
彼の名前、マサトって言うの」


黙った私に気付いて、アヤさんは説明してくれたケド。
私が気になったのはYの方。


だってこれはアヤさんに贈った指輪でしょ?


「…なんで、イニシャルがアヤのAじゃなくてYなんですか?」


私が聞くと、アヤさんはクスクス笑った。


「もしかしてチエちゃん、私の名前アヤだと思ってる?
違うの。
私のフルネームは綾瀬ユキ…」


アヤさんがそう言いかけたとき。


「ごめん、お待たせー」


待ち合わせの相手らしい女性が、こっちに向かって来た。
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