この男、偽装カレシにつき
もうすぐ期末試験だっていうのに余裕こきまくりですこと。


つーか、おぼっちゃまなんだからバイトする必要なんてないクセに。


居酒屋でキッチンスタッフやってるらしいケド、どうせお酒をちょろまかしてるに違いない。


私とバイトどっちが大事なのか聞いたら、バイトって即答するんだろーな。(怖くて聞けない)


「もし良かったら、俺の傘入る?」


後ろから優しい声がして振り返ると、大野センパイが、折りたたみ傘を持ち上げて私を見ていた。


「いいんですか?」


「もちろん。
隼人が良ければ」


「おー。
そうしろ、そうしろ」


橘センパイはまるで邪魔者を追い払うかのように、手をパタパタ振って言った。
< 226 / 499 >

この作品をシェア

pagetop