この男、偽装カレシにつき
「そんな顔しないで」


大野センパイは私を抱き寄せる腕に力を込めた。


「俺にすれば?」


「え?」


あんまり強く抱きしめられてるもんだから、大野センパイの顔が見えなくて、その意図が掴めない。


え?
どういうこと??


ああ、そっか。
聞き間違いか。
そう思い込もうとしたとき、


「―――俺にすればいいよ。
隼人なんかやめて」


大野センパイはもう一度言った。


さすがに今度は聞き間違いじゃない。
だけど、まさかそんなはずない。
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