この男、偽装カレシにつき
センパイの分をもう一口もらった後、自分の牛丼というより生姜丼(しつこい)もしっかり完食した私。


直す程してないだろ、とセンパイに突っ込まれつつ化粧直しに席を立つ。


トイレに行きたいって言わずにオブラートに包んだの!
ちょっとは恥じらいのある乙女心を理解しなさいよね!


デリカシーのなさに内心文句言いつつも、洗面台の前で思わずにやけてしまう。


一緒にいるだけでこんなに楽しくて、一緒に食べれば牛丼だってごちそうになっちゃうくらい、センパイがめちゃめちゃ好き。


センパイも同じ気持ちだって、信じていいよね?


そのとき。
バッグの中で、ケータイの留守電を知らせるライトが点滅してるのに気付いた。


純ちゃんかな。
私はそう思って、伝言を再生させた。
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