この男、偽装カレシにつき
伝言なんて消しちゃえ。


そんな悪魔の囁きが、頭の中に鳴り響く。


センパイが雪乃さんのとこへ行っちゃうなんて、そんなの絶対に嫌。


私は恐る恐るOKボタンに指をかけながら、鏡に映る情けない顔をした自分を見る。


センパイだって私に嘘ついてるんだからおあいこだよね?


そして自分にそう言い聞かせながら、震える指でそれを押した。


「伝言を消去しました」


再び感情のない機械の声が流れた後、私はセンパイの元へ走った。
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