この男、偽装カレシにつき
ハイハイ。
分かってますよーだ。


センパイのことだから、プレゼントなんてどうせ考えてないんでしょ?


別に期待してないもんねーだ。


拗ねて頬を膨らませた私を見て、センパイはため息混じりに口を開く。


「何が欲しいんだよ」


って、何その上から目線!
と思わず突っ込みたくなるのを堪える。


いやいやいやいや。
落ち着くんだ、チエ。
貰えるだけ良しとしよう。


とりわけて欲しいものがあるわけじゃないんだし…。


あえて言うなら、センパイの誠実さ?
なんて言ったら怒られそうだし。


「えっと…」


そのとき。
ふと、雪乃さんの指に嵌められたキラキラ光る指輪が頭を過ぎった。
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