この男、偽装カレシにつき
「ちょっと待ったー!
いるいる、いりますっっ!!」


慌ててセンパイの腕を掴んで懇願する。
このチャンス、逃してなるものか!


「何だよ」


よし、言ってやる。


「ゆ…」


「ゆ?」


センパイが眉を寄せる。
怯むな、チエ!


「ゆび…」


「ゆび…?」


マズイ。
なかなか口に出せない私に、センパイの苛立ちが指数関数的に上昇してるのが見て取れる。


言うなら今しかない!
ビビるな、チエ!!


「指…」


「早く言え」


「ポテコでお願いします」


センパイの不機嫌そうな視線に完敗した私は、思わずそんな言葉を口走っていた。


ああ、なんてチキンな私。
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