この男、偽装カレシにつき
「ままままま、待って下さい!
心の準備ができるまで、一旦返却させて…」


動揺のあまり、私が指輪を外しかけたとき、


「バーカ、冗談だ。
安物に決まってんだろ」


センパイが私のおでこを指で弾いた。


何だ、びっくりしたー!
驚かせないでよねー!!


でも、よく考えりゃ当然だ。
豚に真珠、チエに高級品ってね。


でも、安物に見えないんだけどな。


キラキラ輝く指輪を見つめながらそんなことを思っていると、センパイは再び私の指にしっかりと指輪を嵌め直す。


「いいから、お前は黙って嵌めてろ」


私はデコピンの跡をさすりながら、ホッと息を吐く。


「てことは、差額は身体でってのもナシですよね?
良かったー!」


だいたい、色気ゼロの私の身体じゃ、差額を埋められるか怪しいしね。
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