この男、偽装カレシにつき
センパイはここで待ってろって言ったケド、そんなの無理だよ。


雪乃さんの元に走って行っちゃったセンパイを、素直に待てるわけない。


いつ戻ってくるかも分からないし。
戻って来たとしても、雪乃さんと何があったのか気になって、平気な顔でいられない。


さっきまでの私には戻れない。


センパイのことなんて待ちたくない。
なのに足が動かない。


誰か、助けて…!


そのとき、バッグの中でケータイが震えた。


もしかして橘センパイ?
やっぱり、雪乃さんのとこへ行くのをやめて、私を選んでくれたの?


私は慌ててケータイを耳に当てた。
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