この男、偽装カレシにつき
「おめでと…」


今年も相変わらず爽やかな大野センパイは、私を見てそう言ったかと思うと。
突然、口を押さえながら目を逸らした。


「どうかしました…?」


私、どこかおかしい?


はっっ!
まさかお父さんてば、心配し過ぎて私たちのやりとりを覗いてないでしょうね。
なんて家の中を振り返ろうとしたとき。


「いや…。
かわいくって直視できないだけ」


大野センパイが照れながら言った。


ボンッ。
予想だにしなかったセンパイの言葉に、私の顔は瞬時に真っ赤に染まる。


「着物、似合うね」


センパイ、お願いだからそんな甘々なセリフを連発しないで下さい。
新年早々、キュン死にしそうなんですケド。
< 333 / 499 >

この作品をシェア

pagetop