この男、偽装カレシにつき
「チエちゃんのお父さんに嫌われちゃったかな…」


私の隣を歩く大野センパイが、頭を抱えながらため息をつく。


「あんなトコで手ぇ出すなんて…。
絶対、がっついたヤツだって思われたよな…」


申し訳なさそうに言うセンパイに、私は思いっ切り頭を横に振る。


「イヤイヤイヤイヤ!
大野センパイが私にがっついてくれるなんて、感謝したいくらいです!」


私の返答にセンパイは目を丸くすると、プッと吹き出した。


あ。
大野センパイの笑った顔、久しぶりに見たかも。


やっぱり大野センパイは、この優しい笑顔が一番好きだな。
< 337 / 499 >

この作品をシェア

pagetop