この男、偽装カレシにつき
「随分長いこと手を合わせてたけど、何をお願いしてたの?」


たくさんの人でごった返す参道を、手を繋いで歩きながら、大野センパイが私に聞いた。


どうしよう。
神頼みで忘れようとしてるなんて、まだアイツのことを引きずってるって暴露するようなもんじゃん。
そんなこと言えないっっ!


「セ、センパイは?」


「もちろん、チエちゃんともっと仲良くなれますようにって」


センパイは繋いだ手に少し力を込めた。


ドキーンッ!


あの毒舌オトコしか知らないせいか、大野センパイの甘いセリフはいちいち心臓に悪い。


もしかしたら、天然女タラシもエロ男と同じくらいタチ悪いかもしんない。
なんて思いながら、私はその爽やかな横顔を見つめた。
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