この男、偽装カレシにつき
参道を歩く女の子のほとんどが、すれ違った大野センパイを振り返っていく。


それを気にするそぶりも見せずに歩くセンパイの隣で、私の方がよっぽど落ち着かない。


そういえば。
人混みの中にいるときの橘センパイは、いつもに輪をかけて不機嫌そうだったっけ。


もっと愛想良くできないもんかと思ったりしたケド。
こんな好奇の目を向けられ続けてれば無理もない、なんてやけに納得したとき。


『視線がウザいから、女避けになれ』


突然。
アイツの声が脳裏に蘇ると同時に。
そんなとんでもない理由でかまされたセカンドキスを思い出した。
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