この男、偽装カレシにつき
「道案内してたとこ」


センパイはそう説明してくれたケド。
私が現れた途端にガッカリした彼女たちから察するに、逆ナンだったに違いない。


危なっ!
イイ男からは、一瞬でも目を離しちゃいけないのね。
勉強になったわ。


なんて、複雑な気持ちで彼女たちの背中を見送っていたとき。
コーヒーを受け取った大野センパイが、一瞬動きを止めたことに気付いた。


「どうかしました?」


「…いや」


だけど、センパイはすぐにいつもの笑顔に戻ってコーヒーを口に含んだ。


何だろう、変なセンパイ。


「それにしても。
やっぱりモテるんだなぁ、大野センパイって」


私がぽつりとつぶやいた途端。
ゲホゲホッ。
大野センパイは、今度は勢い良く咳込んでしまった。
< 345 / 499 >

この作品をシェア

pagetop