この男、偽装カレシにつき
「お、覚えてましたか…(そりゃそーだろ)」


撃沈する私。


しかも、ドアに挟んだのが膝ってのも、しっかりセンパイの頭にインプットされてたし。


さっきさりげなく隠蔽しようとしたのは、無駄な努力だったのね。


「そりゃ覚えてるよ。
しかも、それは俺じゃなくて隼人が―――」


大野センパイはそこまで口にして、突然口をつぐんだ。


「橘センパイ…?」


急に出て来たアイツの名前に驚いて聞き返すと。
大野センパイは少し考えるようにしたあと、首を横に振った。


「ううん、何でもない」


センパイの笑顔はいつも通り爽やかなのに、何かひっかかる。

このしっくりこない感じ、今日は二度目だ。
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