この男、偽装カレシにつき
「チエちゃん」


不意に呼ばれて振り向くと。
大野センパイは、私の前にスッとスプーンを差し出した。


へっ?
これって、『アーン』しろってこと!?


何で、何で、何でー?
大野センパイってば、結構大胆なんだから!
そんなことされても、ドキドキして味わえないって!!


…イヤ。
ちょっと待てよ。


「センパイ、それって…」


「にんじんだけど」


やっぱりかーっっ!


私の顔から一瞬のうちに血の気が引いていく。
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