この男、偽装カレシにつき
「いつも隼人の分も貰ってたし、好きなんでしょ?」


大野センパイは、疑う様子もなく笑顔でスプーンを差し出す。


イヤイヤイヤイヤ。
いつもテンコ盛りだったのは、橘センパイに押し付けられてたからで。
むしろ私も苦手なんです!


なんて。
親切でにんじんをくれる大野センパイに言えるわけない。


「わ、わーい」


作り笑いを浮かべながらにんじんをパクついた私を見て、


「良かったじゃん。
大好物だもんな、にんじん」


橘センパイは、大野センパイの陰で意地悪そうに舌を出した。


ちょっとーっ!
どの口が言ってんのよっっ!


アンタのせいで大野センパイに誤解されたんですケドーっっ!
< 358 / 499 >

この作品をシェア

pagetop