この男、偽装カレシにつき
私は慌ててその場にしゃがみ込む。


なぜ、そんなとこにっっ?!


ていうか。
急に視界に入って来ないでよ。
油断してたから、心臓に悪いっつーの!


突然しゃがみ込んだ上に、ブツブツつぶやく私を見て、純ちゃんが眉を潜める。


「挙動不審」


マズイっっ!
大野センパイを選ぶなら、きちんと責任持てって言われたのに。


橘センパイを見てこんなに動揺してんのが純ちゃんにバレたら、絶対に説教をくらってしまう。


「む、虫!
虫がいたから驚いちゃって」


虫は虫でも、悪い虫だケド。
なんて余計なことは言わないようにしなきゃね。


「…ふーん」


純ちゃんはイマイチ腑に落ちない顔をして鼻を鳴らすと、日誌に視線を戻した。
< 371 / 499 >

この作品をシェア

pagetop