この男、偽装カレシにつき
ドサッ。
落下音と共に、私は窓から身を隠す。


キスを邪魔したのがバレたら、財布を踏まれるだけじゃ済まなそうだもんね。


「キャッ」


ギャルが小さな声を上げて逃げていくのを確かめて、ギリギリセーフ、なんて胸を撫で下ろしていると。


純ちゃんがおもむろにつぶやいた。


「今渡したスクールバッグ、全開だったけど大丈夫なの?」


ああ。
確認しないで投げちゃったけど、スクールバッグだったのね。
どうりで持ち手が付いてて投げやすかった…、じゃなくて。


「バッグって、まさか…」


何かすごく嫌な予感がする。
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