この男、偽装カレシにつき
「…何をどうしたら、こんなもん落とすんだよ」


橘センパイは片眉を下げながらそう言うと、私にスクールバッグを投げて寄越した。


何よ、その呆れ果てた顔。


いくら私だって、こんなもん、うっかり落とすわけないじゃん。
アンタがギャルにキスされそうになってなけりゃ、こんなことしてないっつーの!


なんて。
そんなこと言ったら、2階から見つめてたことも、他の女とキスするのを阻止するためにバッグを投げたことまでバレてしまうから、何とか言葉を飲み込んだのに。


「人の安眠を妨害してんじゃねーよ」


大きな溜め息をつかれると、何だか無性に腹が立ってきた。
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