この男、偽装カレシにつき
「本当かよ。
もっとよく見てみろ」


「え?」


だから、何もなくなってないって言ってんじゃん。


私はもう一度確認したあと、ムッとして顔を上げる。


「やっぱり全部あります」


「ちゃんと確かめろって言ってんだよ」


何なのよ、さっきから。


「だから、確かめましたって!
大事なものは、何一つなくなってませんっっ!」


私がそう言い切ると。


「ああ、そうかよ。
もう知らねー。
早く帰れ帰れ」


橘センパイは突然態度を変えて、私を追いやるようにシッシッと手を振った。


何じゃそら!
相変わらず訳の分からないヤツっっ!
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