この男、偽装カレシにつき
驚いて見上げると。
私の教室の窓から大野センパイが顔を覗かせていた。


「大野センパイ…」


橘センパイを掴んでいた手の力が、一瞬にして抜けた。


腕時計を見ると、待ち合わせの時間はとっくに過ぎていた。


大野センパイは、なかなか現れない私を心配して教室まで迎えに来てくれたに違いない。


距離がありすぎて、ここからだと大野センパイの表情はよく見えないケド。


いつから見てたの?
なんて聞く必要はきっとない。


あんなに長いキスをしておいて、見られてないわけないんだから。
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