この男、偽装カレシにつき
まさか。
まさかまさか。
告白相手を間違えた?!


「―――せめて名前くらい名乗れよ。
朝っぱらから人を引き止めておいて、無礼なヤツだな」


ゆっくり視線を戻して見てみれば。
この男には少なからず見覚えがあった。


それもそのはず。
緩くウェーブした長めの黒髪。
嫌味なほど整った顔立ち。
モデル並の高身長とスタイル。
…とくれば間違いようのない、我が校の有名人だったから。


「橘…隼人!」


「それは俺の名前だろうが」


こうして、史上最大のミッションは。
初対面の橘センパイも呆れてツッコミを入れてしまう程、お粗末な結果に終わったのだった。
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