この男、偽装カレシにつき
つーか。
何、真顔でとんでもないもの渡そうとしてんのよ!
危うく、ほだされて受け取るとこだったっつーの!


なんて息を荒くする私に、橘センパイはぶはっと吹き出した。


「それ。
それがいい」


え?


「それって、コレ…?」


私は恐る恐る例のモノを持ち上げる。


これがいいって、つまり。
橘センパイの愛用の品ってこと?
薄いケド丈夫、とかそういうこと?


って、おーい!
これできっぱりお別れってときに、何言ってんのっ!
相変わらずとんでもないヤツっっ!


今までアンタが不特定多数のオンナノコと、あんなことやそんなことしたときの感想なんか知るかっつーのっっ!


なんて私が怒りにワナワナ震えているのを見て、センパイは片眉を下げながら私にデコピンをかました。
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