この男、偽装カレシにつき
大野センパイと一緒にいるのに。
いつまでも未練たらしく、あんなヤツのことを思い出してたら失礼だっつーの。


自分にそう言い聞かせることに必死で。
ほとんど無意識でミルクを入れようとした瞬間、大野センパイに手を掴まれた。


ガチャン。
思わず落としてしまったミルクが、テーブルの上に広がっていく。


びっくりして振り返ると、大野センパイが眉を下げてこっちを見ていた。


「…言わなかったっけ。
俺はブラックしか飲まないって」


言われた途端。
まるで頭をガンと殴られたように、記憶が蘇った。
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