この男、偽装カレシにつき
「忘れたいんです…」


私は震える声でつぶやいた。


もう、傷付く恋はしたくないの。


「アイツのこと、忘れさせて下さい…」


この状況でこんなセリフを言えばどうなるかくらい、お子ちゃまの私にも分かってる。


「本当にいいの?」


センパイに聞かれて私はコクリと頷く。


大野センパイは少し考えるようにした後、ステレオのリモコンを手に取る。


そして少し耳障りなくらいのボリュームでCDをかけた。


もう後戻りはできない。
私は自分に言い聞かせるようにゆっくり目を閉じると、大野センパイに身を任せた。
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