この男、偽装カレシにつき
「目ぇ閉じないで」


そう言われて目を開けると。
頬を紅潮させたセンパイが、切なそうに私を見てる。


「アイツのこと考える暇ないくらい、俺のことだけ見て」


センパイは荒い息づかいでそう言うと、私の首筋に舌を這わせた。


「あ…」


私が漏らした小さな声は、賑やかな音楽に簡単に掻き消されてしまう。


大丈夫。
大丈夫。


私はまるで呪文のように、そればかりを繰り返し唱える。


大野センパイのことは、ちゃんと好き。


私に触れる手も、キスも、嫌じゃない。
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