この男、偽装カレシにつき
「だって、雪乃さんは…?」


私は思わず聞き返す。


クリスマスイブ。
橘センパイは、私を置いて雪乃さんのところへ向かった。


それってつまり、私じゃなくて雪乃さんを選んだってことでしょ?


「それなのに私にホレてるなんて、そんな都合のいい話があるわけ…」


私が無理矢理笑いながら否定していると、


「あーっ、もう!
自分の首を絞めるようなこと、本当は言いたくないのに…」



大野センパイは苛立った様子で髪をぐしゃぐしゃと掻きむしる。
そしていつになく強い口調で言った。


「そんなの、俺が知るか!
だけど、あの隼人にお預けくらわせたチエちゃん以上に、大事な子が本当にいると思う?」
< 430 / 499 >

この作品をシェア

pagetop