この男、偽装カレシにつき
「じゃあ聞くけど。
愛されてる実感、なかった?」


その瞬間。
橘センパイと一緒に過ごした記憶が脳裏に蘇る。


そうだ。
橘センパイは、エッチを待ってくれただけじゃない。


大野センパイと仲良くしてればヤキモチを焼いてくれたし。


イブには指輪を左手の薬指に嵌めてくれた。


『好きだ』って言葉は結局一度も言ってくれなかったケド。


それを補って余りあるくらい、とろけるようなキスをくれた。
抱きしめてくれた。


ああ。
あんなに橘センパイを疑ってたクセに。


どうしてだろう。
今になれば、センパイに愛されてたことしか思い出せないよ。
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