この男、偽装カレシにつき
この男、私のカレシにつき
私、成海チエは今、史上最大(私的)のミッションに再び挑もうとしていた。


橘センパイの家の前で、インターホンに指をかけてゴクリと息を飲む。


覚悟を決めるのよ、チエ!


私は自分を奮い立たせてそれを押した。
ピーンポーン!


ドキドキドキドキ。
このしばしの沈黙が心臓に悪いわ。


はっ、しまった!
センパイに会ったら、まず何て言うか考えてなかった!


えっと。
大野センパイときちんと別れたことを言って。


それは橘センパイのことが好きだからって伝えて。


そんでもって、センパイの気持ちも確かめて…。


なんて、今さら(遅っ)脳内シミュレーションを始めたとき。


ガチャ。
重厚な音を立てて、玄関の扉が開いた。
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