この男、偽装カレシにつき
どこかで見た気がしたのは、橘センパイの笑顔と似てたからだったんだ。


よく見れば、切れ長の目も薄い唇もそっくり。


しかも。
センパイより大人で落ち着いてる分、いい男度は三割増しかもしんない。


「はっ、はじめまして!」


慌てる私に、センパイのお兄さんはクスクス笑う。


「チエちゃんの話はよく聞いてるよ」


うわ。
アイツってば、ろくでもないこと吹き込んでないでしょうね…。


「想像通り、可愛い」


ボンッ!
予想だにしなかった言葉に、私の頭が爆発する。


橘センパイとよく似た顔から、センパイなら絶対言ってくれないような甘いセリフが出て来るなんて反則でしょ。
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