この男、偽装カレシにつき
「雅人…。
お前よくもここに顔が出せたな」


マサト。
センパイがぽつりとつぶやいたその名前には、聞き覚えがあった。


どこで耳にしたんだっけ…。
そう記憶を辿りかけたとき、


「…お前が海外出張で不在だったせいで、俺がどんだけ迷惑を被ったか教えてやろうか」


センパイは不機嫌極まりない表情でぼやいた。


「ああ、イブの日は悪かったな。
結局軽い貧血だったみたいだけど、お前に付いててもらって心強かったって雪乃もお礼言ってたよ」


センパイとは対照的に、お兄さんはあくまで冷静。


見た目は似てても、やっぱり対応が大人だわ…、じゃなくて。


「雪…乃?」


その名前はどうしても聞き捨てならなくて。
私は思わず口を挟んだ。
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