この男、偽装カレシにつき
イブ当日。
確かにセンパイは雪乃さんに呼び出されて、私を置いて行ってしまったケド。


何でそんなこと、お兄さんが知ってんの?
しかも、それをお兄さんが謝るってどういうこと??


なんて、眉をひそめていると、


「その節は、俺の婚約者が二人のデートをぶち壊してすみませんでした」


お兄さんは私に向かって頭を下げながら、遅発型の爆弾を投下した。


「…コンヤクシャ?」


咄嗟に漢字変換ができない私を尻目に、お兄さんは玄関の扉に手をかける。


「じゃあ、俺はこの辺で。
チエちゃんはどうぞ、ごゆっくり」


そして、あの笑顔を振り撒いて部屋を後にした。
< 449 / 499 >

この作品をシェア

pagetop