この男、偽装カレシにつき
私は混乱したまま橘センパイの顔を見上げる。


「コンヤクシャって…、婚約者?」


「…他にあるかよ」


橘センパイは、まるで私の脳内を覗いたかのように鋭い突っ込みを見せる。


「…誰が?」


「雪乃が」


「……誰の?」


「兄貴の」


一言一言、センパイの苛立ちのボルテージが上がってるように感じるのは、気のせいではあるまい。


ああ、そう。
雪乃さんはお兄さんの婚約者だったのね、…って。


「えーーーっ!!」


そのあまりの衝撃で。
私は過去最高となる大声を上げながら後ずさった。
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