この男、偽装カレシにつき
驚いて目を開けると。
センパイは私を軽々と抱え上げている。


ここここ、これってもしかしてお姫様抱っこ!?


まさか私に、こんな乙女チックな展開が訪れるとはっ!!


ああ。
夢心地って、こういうことを言うのね。


さすが恋愛マスター。
やることがいちいち胸キュンなんだからっ。


なんて、センパイをぎゅうっと抱きしめたとき。


「そんなに引っ付くな。
歩きづらいだろうが」


センパイはそう言うと、私を抱えてた腕を急に放した。


ボンッ。
さっきのふわっ、とは違う感覚が背中に広がる。


「へっ?」


慌てて周りを見回すと。
いつの間にか、私はセンパイの部屋のベッドの上に横たわっていた。
< 465 / 499 >

この作品をシェア

pagetop