この男、偽装カレシにつき
コ、コイツっっ!
いつまで人をおちょくるつもりなのよ。


「その話は、いい加減忘れて下さいってば!」


「…あんな豪快に挟まれたヤツのこと、そう簡単に忘れられるかよ。
当の本人は、助けてもらった相手の顔さえろくに覚えてないみたいだけどな」


え?


「何言ってんですか?
そんなの、大野センパイに決まって…」


「お前を助けてやったのは俺。
俊介はあの電車に乗ってもいねーよ」


イヤイヤイヤイヤ。
挟まれた直後は、動揺しまくってよく覚えてないのは確かでも。


助けてくれた学ランの衿元に巻かれたマフラーの柄は、今も目に焼き付いてますケド。
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