この男、偽装カレシにつき
「間違いなく、大野センパイのマフラー巻いてましたよ」


こっちはあれから一週間。
駅で張り込んで、持ち主を確かめたんだからね。


「…寒い日は、あのマフラーは俺のものなんだよ」


って、おーい!
アンタはどっかのガキ大将かいっ!


でも。
あの日はめちゃくちゃ寒かったし。
つい最近まで、橘センパイが大野センパイのマフラーを愛用してたのも事実。


まさか。
本当に、あれは橘センパイだったの?


「じゃ、じゃあ。
大野センパイが、私が扉に挟まれたことを知ってたのは何で?」


「俺が言ったんだよ。
雪乃を超えるオンナに会ったかもしれないって」


「超えるって…?」


恐る恐る聞き返すと。


「雪乃以上に…。
放っておけないってことだよ」


センパイは私の耳元でそう囁いた。
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