この男、偽装カレシにつき
み、耳ーっっ!
息遣いが直に伝わってくるっっ!


「お前が惚れたのは俺。
…お前が俺のものになるのは、ずっと前から決まってたんだよ」


そ、そっか。
私はセンパイのものになる運命だったのね…、じゃなくて!


「な、何で黙ってたんですか!」


初めに言ってくれれば、こんな遠回りしなくて済んだじゃん。


「そりゃ…。
最近退屈してたし。
他の男を見てる女の方が、振り向かせ甲斐があんだろ」


た、退屈って…。


じゃあ。
非常階段のキスマークも。
密室のファーストキスも。
女避けのセカンドキスも。


橘センパイと大野センパイの間で揺れる気持ちに悩んだのさえ。


全部、退屈しのぎのせいだったってことーっっ!?
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