この男、偽装カレシにつき
告る相手のみならず。
そもそも好きになる相手さえ間違えた私も私だケド。


恋心を弄ぶなんてヒドイ!!
そう言いかけたとき。


「だけど…。
俊介がお前のことを好きになったのは正直、想定外だった」


センパイが、ぽつりとつぶやいた。


「え…?」


「お前も、助けたのは俊介だって思い込んでるし。
俺の浮気は誤解してやがるし…」


センパイの眉が、みるみる下がっていく。


「…お前が俺の手を振り払って俊介を選んだとき、すげぇ後悔した。
初めから言っておくんだったって…」


そっか。
あの日、引き止めなかったのは、私に未練がなかったからじゃないんだ。


私の気持ちを優先して、身を引いてくれたからだったんだ…。
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